出張撮影でカメラ機材を飛行機の預け荷物にするのは避けたい!
私は現役のカメラマンなのですが、飛行機での出張撮影の場合、必ずカメラ機材を国際線・国内線問わず機内に持ち込むようにしています。
預けてしまうと見えないところで荷物がどのような扱いを受けているのかわからないし、そもそもフラジール(こわれもの)タグをつけたところで、丁寧に扱ってくれる保証はどこにもありません。
もし機材が壊れてしまっても「免責」同意のサインをしてしまっておりますし、地方のロケ先で機材が壊れていたら、機材自体再調達することが難しく、撮影がすべて止まるというリスクがあります(そもそも東京から地方まで出張撮影するような案件ですと、クライアントさんの予算と気合も桁違いなものです。機材が壊れたから撮影できません、なんて話が通じる訳ありません)。
機材を預けたことによるトラブルの責任は、預けるという判断をしたカメラマン自身にあるわけです。
国際線の場合は国内線よりもロストバゲッジのリスクも大きくなってきます。カメラ機材を航空会社に託すことへのメリットはどこにもありません。私自身が預け荷物にするのは、着替えなど例え無くなっても仕事(撮影)に支障をきたさないものだけです。
カメラのないカメラマンは、ただのマンです。悲しいかな現場にいたところで何の役にも立ちません。
来週から撮影で沖縄に行きます
来週から沖縄ロケです。スタンドやオクタゴン(ライティング用アクセサリ)などを含む撮影機材を持ち込みます。
実は3週間前にも別のクライアントさんの撮影で沖縄ロケに行ってきました。LCC(ジェットスター)での移動でしたがこの航空会社は「持ち込み可能な手荷物は7キロまで」とのこと。それを知らずに、撮影機材は15キロ。追加料金を払えば持ち込めるものと思っていたのですが、今や飛行機への持ち込み自体がどうしても無理なのだそうです。飛行機を使った出張撮影が久しぶりで事情が変わってしまったのかもしれません(数年前に大韓航空に乗って以来です)。失敗。
ということで、ジェットスターでの沖縄行きは泣く泣く預け荷物として、沖縄でピックアップした瞬間全ての機材が正常に動くかを確認。
実は、その時航空会社のスタッフさんから
「規定の重さを超えてしまうとどのような航空会社でも持ち込みはできない。ANA、JALでも同じ案内」
と案内を口頭で受けておりました。
ANAに聞いてみた
ということで、今回乗る全日空に電話して聞いてみました。
ANAは「総重量10キロ以内」
登場する期待にもよるようなのですが登場人数が100人以上の機体であれば、総重量10キロ以内とのことでした。それを超えると「預け」になるようなのですが、保険をかけることができるとのこと。
今回持っていく撮影機材の購入当時の金額で計算してみると、500万円を軽くオーバーしています(中版デジタルカメラも持って行きます。一台200万円)。この場合5,000円程度を事前に支払って保険をかけることで、全日空側の過失で壊れたと認められた場合、修理費を保証するというもの(といってもロケ地で壊れている状態だと、結局撮影できないんですけどね…)。
スタンド、三脚は60cm以下
スタンドや三脚は60cm以下と規定が決まっており、手荷物検査の際に「三脚ですか?取り出して測らせていただきます」と言われて、メジャーで測られます。
リチウムイオンバッテリー類の持ち込みは基本NG
スマートフォンやパソコン内蔵のリチウムイオンバッテリーを除き、Profoto B1のように大容量なリチウムイオンバッテリーは持ち込みが制限されるようです。もし引っかかってしまったらその場で「破棄」をしなければなりません。
「機内持ち込み」まとめてみると
今回はANAの規定を確認してみましょう。
- カメラバッグ → 規定内のもの。縦55cm、横40cm、幅25cmで三辺の合計が115cm以内のもの。私は、think TANK Photoのエアポートシリーズを普段から愛用しているのでここは問題ありません。
- スタンド・三脚 → 伸縮時の長さ60cmを超えないもの。
私は基本三脚を持ち歩かない派なのです。スタンドもそうですが大きさによって持ち込めない・持ち込まないときは布などを巻いておくほうが良いかもしれません。以前ヨンニッパ(AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR)とハスキー三脚を持って韓国に行ったことがありますが、ピックアップしたときに三脚が傷だらけになっていました(ちなみにレンズは持ち込みです)。私は機材の傷は全く気にしないのですが、気になる方は…別途郵送したり現地レンタルなどがよいかもしれませんね。 - アンブレラ → 伸縮時の長さ60cmを超えないもの。多くのアンブレラは伸縮時60cmを超えていますので、飛行機用に折りたたみ式のものを購入しました。
フィルムカメラの場合は、持ち物検査のX線で感光してしまう可能性があるので専用のケースに入れる必要があります…が、今回はフィルムの持ち込みはありません。
唯一の解決策は二人以上のチケット購入か
結局のところ、飛行機の規定が随分と厳しくなったため、「追加料金を払ってたくさんの機材を持ち込む」ことはできないようです。どうしてもという場合は、二人以上のチケットを購入するしかないようです。
カメラというのは鉄の塊なので、どうあがいても重くなってしまいます。スタンドを二本から一本にして、もう一本はクランプを持ち込むなど工夫するしかありません(とはいえクランプも重いわけですが…)
500万円分の撮影機…
今回のメインは中版デジタルでのポートレートです。撮影内容ではイベントスナップもありますしAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(このレンズは非常に素晴らしい)も使いたいので、D4も持って行きます。ざっと計算しただけでも20キロは超えそうです(モノブロックは持ち込みません)。
今回はクリップオンでのライティングを考えているので(移動が多く、B1のバッテリーの機内持ち込みが難しそうなので)、私は今回インタビュー撮影などで多く採用しているクリップオンでの軽量化ライティングで行くことにしました。
今回のアクセサリは折りたたみ式アンブレラに加え、Profotoのオクタゴン+グリッドをメイン機材に考えています(ちなみにクリップオン+オクタゴン+グリッドの組み合わせ、まなみのりさのBESTアルバムのジャケット撮影でも使っているライティングです)。
オクタゴン自体は小さくなるので持ち込みは問題なさそうです。いろいろと試行錯誤してみましたが、今回も機内持ち込みを諦めるしかないのかもしれません…。
そんな時ANAから電話が
頭を抱えていたのですが、電話で確認させていただいた担当の方から話を聞いた別の方から携帯電話に電話が。聞いてみると
「その日の状況によっては機内持ち込み可能なことあるので、空港で確認してください」
とのこと。
さすがの全日空です。当日どうなるかはまだわかりませんが、一筋の光が見えたのでした。
おそらく金額が金額というのもあるから極力柔軟に対応してくれるのではないだろうか。もしかしたらテレビ局だとかスチールよりも高価な機材(ENGと言われるテレビカメラ、最近は安くなったようですが一台1,000万円弱する代物です)を持ち込むお客さんもいるだろうからそのあたりの対応があるのかもしれません。
後はとにかく預けになってしまった時に備え、エアパッキンでがっちり固めるしかないでしょう。
【追記】沖縄ロケから帰ってきました
沖縄ロケから帰ってきました。ANAの結論としては
- 往路→何も言われない。
- 復路→何も言われない。
手荷物の受付時に確認したのですが「問題無いですよ」とのこと。
これは非常に助かりました。また乗らせていただきます。
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この記事を書いた人
1987年広島生まれ。
プロカメラマンマッチングサービス「TOTTA」や写真撮影・動画撮影サービス「deltaphoto」を手掛けるカメラマン。キヤノンユーザ。ビジネス撮影で日本全国出張撮影しています。