背景を綺麗にぼかした写真を撮りたくて一眼レフを始める人も多いと思います。カメラレンズを選ぶ際「ぼけ」の美しさをは多く語られる要素の一つです。
背景をぼかすには、スマートフォンやコンパクトデジタルカメラではなかなか難しく、一眼レフだからこその表現だとも言えるかもしれません。
ただ、買ったはいいもののうまくぼかせない…。何がいけなく、どうすれば背景をぼかせるのでしょう。
撮影モードを「絞り優先」(キヤノンなら「Av」、ニコンなら「A」)に切り替えます。モニターに表示されている「F」から始まる数字が、「絞り」にあたり、その数字が小さければ小さいほど、絞りの値が「明るく」、限界まで数字を小さくした状態を「開放」と呼びます。
この絞り値につきましては、レンズによってかわり、型番の「F」のあとに書かれた数字が、そのレンズの開放の値となります。絞り優先モードで、数値を小さくすることで、背景はボケやすくなります(ただし、開放で撮るよりも少しだけ絞ったほうが画質的には安定すると言われます)。
ニコンの標準ズームレンズをの2つですが、開放が明るいレンズのほうが高級で、ズーム域が短いことがわかります。ただし、画質や逆光耐性は24-70mmF2.8のほうが高いと言われています。
また、レンズによってはズームをすることで開放F値が変わるものもあります。
こちらはキヤノンのEOS 70Dのキットレンズとしても採用されているものですが、開放絞り値がズームによって変化するレンズは求めやすい値段設定で入門者向けです。ズームを望遠にすれば、レンズは「暗く(F5.6に近づく)」なります。レンズキットに着いてくる入門者用レンズですが、F値はお世辞にも明るいとはいえず、背景はぼかしにくくなります(勿論キヤノンにもF2.8、F4のレンズは同じようにあります)。
「明るいレンズを買って背景をぼかしたいけど、20万以上のレンズは買えない」というひとにおすすめなのは「単焦点レンズ」です。
単焦点レンズはズームは出来ないものの、ズームレンズに比べても開放F値は明るく、画質も良い物が多いです。
ちなみに、筆者が多用している単焦点のマクロレンズの「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED(¥83,000)」はF2.8のズームレンズよりも逆光耐性が特に高く、カメラバックには必ず入れています。
スーマートフォンやコンパクトデジタルカメラで背景をぼかした写真を撮りにくい原因の最たるものが、搭載されているセンサーのサイズが小さいためです。カメラの仕組み上、センサーのサイズが大きければ大きいほど背景をぼかしやすいです。
デジタル一眼カメラの場合、センサーサイズは基本的に
の二種類になります。フィルムと同じ大きさのセンサーが「35mmフルサイズ(FXフォーマット)」で、それをひと回り小さくしたものが「APS-C(DXフォーマット)」となります。勿論センサーサイズの大きなフルサイズ機のほうが高級機となります。
ズームレンズであれば、望遠で撮ることにより、背景のボケが強調されます。被写体が近くにいる場合でも、自ら離れて距離を取り、望遠にしてみると、撮れる画に変化が現れます。
「3.望遠で撮る」と逆のことを言っているようですが、そうではありません。
「ぼかし」には被写体と背景の距離も大きく関係してきます。明るいレンズを使い、被写体と距離を取り、望遠で撮ったところで、被写体の真後ろにすぐ壁があっては元も子もありません。ぼかしたい背景と距離を取ることにより、よりぼけが強調されるのです。
距離を離すとこうなります。
また、寄れるところまで被写体に寄れば、相対的に背景との距離が遠くなります。つまり、マクロレンズであればより背景をぼかしやすくもあります。
1987年広島生まれ。
プロカメラマンマッチングサービス「TOTTA」や写真撮影・動画撮影サービス「deltaphoto」を手掛けるカメラマン。キヤノンユーザ。ビジネス撮影で日本全国出張撮影しています。