大切なお子さまのピアノ発表会。せっかくだから綺麗な写真を残したいですよね。暗いホールでの撮影は、手ブレをしていたり、顔が写っていなかったり…思い通りに撮れないという人も多いはず。
この記事では、プロが教える「ピアノ発表会」をバッチリ撮る12のテクニックを伝授します。
1.三脚は必ずしも使う必要はない
これは意外と思われるかもしれません。
皆さん多く勘違いをされていますが、手ブレが起きてしまうようなシャッター速度であれば被写体自体がブレやすくなります。プロカメラマンとして働いている筆者は、ピアノ発表会の撮影時に被写体ブレを起こさないシャッター速度まで上げています。そうする事で、おのずと手ブレは回避され、結果として三脚は必要なくなるのです。
もちろん手ブレが心配であったり、「確実性」を求めるのであれば、会場に持ち込んでも良いでしょう。しかし、三脚は重く、場所を取り、セッティングにも時間がかかる上、撮影中の機動力が落ちてしまうというデメリットが有るということも理解しておきましょう。
筆者はピアノ発表会を撮影する際には、非常に重い超望遠レンズを使うなどの場合でないかぎりは三脚は持ち込まず、手持ちで撮影しています。
2.フラッシュは焚かない
コンサートや舞台は進行の妨げとなるためフラッシュを使って撮ってはいけません。勿論ピアノ発表会もこれにあたります。
3.できるかぎり明るいレンズを使う
ピアノ発表会の開場は多くの場合薄暗いです。フラッシュを焚くことも出来ないので、明るい望遠レンズを用意しましょう。高感度耐性の高いボディだとより良いです。
4.連弾でなければ、絞りは開放気味に
カメラのモデルによって感度の上限というのは決まってきますし、「ここまでのノイズなら許せる」というのも人それぞれですので、いくつが良いとは明言できません。
もちろん低感度が理想ですが、ホールは思ったよりも暗いです。シャッター速度に関しては指先までぶれないようにとなると1/320以上が理想となりますが、それにより感度や絞り値が追いつかないとなる場合筆者は、1/125を最低の速度として考えています。これであれば、指先はわずかにぶれることもありますが、微々たるレベルでしょう。
演奏者が一人であれば、絞りは開放気味にしてしまっても問題はありません。
5.ホワイトバランス(色温度)、露出はマニュアルで
ピアノの発表会があるようなホールでは、基本的に暖色系のタングステン照明であることが多く、オートホワイトバランスで撮ってしまうと写真が赤っぽくなってしまいます。色温度3330K付近で正しいものを探してみましょう。しかし、カメラの画面の色やその場の照明の色によっても雰囲気が変わって見えるので、次に説明するRAW形式での撮影後現像をすることをお勧めします。
また、ピンスポットなどがあたっている場合は、オートで明るさを合わせにくく、また最初から最後まで基本的に照明の明るさが変わることがないことから、マニュアルで露出を合わせてしまうほうが写真の明るさにムラが出てくることはありません(しかし入退場時の歩いている様子やお辞儀の様子は照明が当たっていないこともありますので、その場所の露出には気をつけましょう。事前に明るさの違いをテストしておくことも良いでしょう)。
6.RAWで撮る
カメラ側でマニュアルホワイトバランスで撮影したとしてもピアノ発表会をするホールは古い所も多いです。
照明が最新のものでない以上、カメラ側だけでの設定では不十分でしょう。撮影後Adobe Photoshop LightroomなどのRAW現像ソフトで色温度・色かぶり・露出などの微調整をするとより良い写真になるでしょう。
7.撮影位置は必ずしもセンターでなくてもいい
お子さまの顔をきちんと撮ろうとすると、センターよりも少し上手気味(舞台を見て右側)の席から撮影すると顔の表情も見えやすくなります。
もし確実に狙いの場所から撮りたいのであれば、他の人よりも早く現場に到着して開場を待ちましょう。
8.女の子は髪型に気をつける
ピアノの発表会の場合、多くは舞台上手を向く、横顔を正面に向ける形での演奏となります。そのため、髪をおろしている女の子の場合、前かがみになり、髪で顔が隠れて、表情がまったく見えなくなってしまうことがあります。
家で髪型をセットするとき、本番前など、顔の右側の髪を耳にかけるなどして、顔の表情を見えるようにしましょう。
9.シャッター音には気をつける
ピアノの撮影会で一番気をつけることはシャッター音です。ビデオを撮っている人もいるので、連射は避けましょう。
筆者の場合、ピアノの入った全体的なカット、子どものよりのカットなど数点づつ撮影をすることが多いです。
もしカメラが「静音モード」を搭載したモデルであれば、それを利用するのも良いでしょう。
11.シャッター数を減らして良い写真を撮る
会場の雰囲気上、連射で良い写真を撮る、ということが難しくなります。総シャッター数を減らして、写真のクオリティを上げるためのヒントは「楽譜」にあります。
ご自身のお子さんが演奏する曲、鍵盤の右側(高い音)を叩くタイミングを把握しておきましょう。演奏者が舞台上手を向いて座っている場合、鍵盤の右を叩くタイミングで、顔が客席側(カメラ側)にきます。鍵盤の右側を叩くタイミングを事前に把握し、そのタイミングを事前に覚えて「決め打ち」できればスマートです。
12.リハーサル時には本番撮れない角度で
リハーサルがあり、それを撮影できるのであれば思い切って本番では撮れないような角度に挑戦しましょう。先生や教室により対応は変わりますが、例えばステージの上から撮影してもOKということもあります。
せっかくなのでそのタイミングで本番用の衣装でしたらさらに素敵ですね。
以上がピアノ発表会の撮影で気をつけるべき12のポイントになります。
あとは日頃からたくさんお子様の写真を撮ってカメラに慣れること。これが一番の対策なのかもしれません。
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この記事を書いた人
1987年広島生まれ。
プロカメラマンマッチングサービス「TOTTA」や写真撮影・動画撮影サービス「deltaphoto」を手掛けるカメラマン。キヤノンユーザ。ビジネス撮影で日本全国出張撮影しています。